カメは両生類? 100均カードで激変!「知ってるつもり」が「なるほど!」に変わる分類学

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

皆さん、こんにちは! 「カメ」は何類か、自信を持って答えられますか?「じゃあ、タツノオトシゴは?」と聞かれたらどうでしょう。見た目や住んでいる場所で判断すると、つい間違えてしまう動物たち。 日常の「知っているつもり」が、科学の目で見るとガラリと変わる…。そんな「分類」の面白さを体験できる授業を、あっと驚くアイテムを使って行いました。

そのアイテムとは、ダイソーで手に入るものしりカード どうぶつ」と「ものしりカード  うみのいきもの」です。これが理科の授業にぴったりの教材で、大活躍してくれます。なんといっても、100円という手軽さが魅力で、班ごとに揃えやすいのが大きなメリットです。

クイズの出し合い!まずは「自分のモノサシ」で分類してみよう

まずはこの「どうぶつカード」を使い、生徒たちに自分なりの観点で生き物を分類するワークを行いました。やり方はシンプルです。班の中で1人がお題を出し、他のメンバーが生き物を分類。その分類の根拠を考え、クイズ形式で答えを発表するという流れです。

例えば「海で生きるものと陸で生きるもの」「足が4本のものとそうでないもの」といったお題ですね。

このワークを4回繰り返すと、「卵で生まれるものとそうでないもの(卵生と胎生)」など、だんだんと科学的な視点が生まれてきました。

科学のモノサシ「背骨」を観察する

生徒たちの視点があたたまってきたところで、別の時間に行った「煮干しの解剖」を思い出してもらいます。

スーパーの食材で実験!煮干しの解剖で脊椎動物の体のつくりを観察しよう(ニボシの解剖)

煮干しを解剖すると、頭から尻尾まで一本通った「背骨」が見つかります。これこそが、私たちヒトや、カードに載っている動物たちの多くに共通する特徴、「セキツイ(背骨)」です。この「背骨」という科学的なモノサシを持つことで、いよいよ本格的な分類に挑戦します。

「知ってるつもり」が「なるほど!」に変わる瞬間

「どうぶつカード」と「うみのいきものカード」をすべて混ぜ、動物を魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類の5つのグループに分類するワークを実施しました。(※入力文の指示に基づき「その他」も残します:魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類・その他

ここで、生徒たちが一番頭を悩ませたのが「タツノオトシゴ」でした。 「硬い殻があるからエビやカニの仲間(甲殻類)?」「でも形が不思議…」

そこで実際に調べてみると、タツノオトシゴはれっきとした「魚類」に分類されることが分かりました。 理由は、ちゃんと「エラ呼吸」をしていて、「ヒレ」を使って泳ぐからです。さらに、あの硬そうに見える体の表面は、実はウロコが変化したものだという興味深い事実も発見できました。

生徒たちからは、他にもたくさんの「!」が飛び出しました。

  • 「ワニが爬虫類だということにびっくりした!」
  • 「カメは両生類だと思っていた!」
  • 「ジンベエザメが哺乳類だと思った!」

たしかに、カメは陸と水中の両方で生活するため、両生類と勘違いしてしまうのも無理はありませんね。しかし、カエルなどの両生類が「水中にゼリー状の卵を産む」のに対し、カメは「陸に(乾燥に強い)殻のある卵を産む」こと、そして「肺で呼吸している」ことから、爬虫類に分類されます。

また、ジンベエザメは「サメ」と名前につく通り魚類です。クジラ(哺乳類)のように大きくても、呼吸方法が「肺」ではなく「エラ」である点が決定的な違いですね。こうした「勘違い」や「迷い」こそが、学びのチャンスです。見た目や生息地といった表面的な情報だけでなく、「呼吸の仕方」「子どもの生まれ方」「体の構造(背骨やウロコ)」といった科学的なモノサシで見ることで、生物の分類についての理解がぐっと深まっていきます。

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